小説の「書き出し」【『ぶっくぶっくに溺れて』より再掲】

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※本投稿は、以前のブログである『ぶっくぶっくに溺れて』から再掲しているものです。

<オリジナル投稿 2019-01-27 21:06:40 >

小説にとって「書き出し」がいかに重要な要素であるかは、今さら私なんぞがこんなところで語るまでもない圧倒的な事実である。

だから、ここでそういったことを再確認するようなことを書くつもりはない。

単に、私がとても好きな「書き出し」のことを、ほんの少しだけ書いてみたいだけだ。

ーー

 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。

   /  『雪国』川端康成 冒頭より

ーー

言わずと知れた、世界の川端康成さんの『雪国』の「書き出し」である。日本文学史上最も有名な「書き出し」の内のひとつであるということは間違いないだろう。

 ――夜の底が白くなった。――

冒頭の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」という一切の贅肉のない一文の次に、「夜の底が白くなった。」である。たったの1行で、主人公の目に映る”国境のトンネルを抜けた先”の情景を、その時の時間帯も合わせて、完璧に表現しているこの「書き出し」が、私は本当に大好きだ。

「美しい」とは、こういうことだと思っている。

この記事を書いた人
鈴木 征浩

鈴木 征浩 - Yukihiro SUZUKI -
本と書店とゲームと日本女子ソフトボールリーグとぬいぐるみとおいしいものとお酒が好きです。
株式会社opsol book 代表取締役社長/opsolグループ専務取締役。
出版プロデュースや編集業と、福祉医療関連事業をやっています。

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