『涼宮ハルヒの憂鬱』が角川文庫から出る!【『ぶっくぶっくに溺れて』より再掲】

honfan_logo

※本投稿は、以前のブログである『ぶっくぶっくに溺れて』から再掲しているものです。

<オリジナル投稿 2019-01-08 21:29:31 >

「『ハルヒ』はラノベじゃない」

この言葉を繰り返して、何年になるだろう。

ハルヒが角川文庫から出る。
スニーカー文庫からのみではなく、角川文庫から出る。

これは私にとっては非常に嬉しい、また、感慨深いニュースである。同様に感じられる方も、いらっしゃるのではなかろうか。

ラノベ=ライトノベルの定義自体が曖昧なわけだが、いわゆるラノベレーベルから刊行されている作品はやはり、世間からはラノベであると認識されることは間違いないと思う。
そして、私はラノベも好きで、ラノベを否定する意図は一切ない。
これらを前提に、以下をお読みいただけたらと思う。

ジャンル分けには、正負両面がある。

ジャンル分けされているからこそ、読者は安心して手を伸ばす。読者からすれば、自分の求める作品イメージに近い可能性が高いと思えるから。

人間時間はどうやったって有限なので、せっかく本を読むなら、自分が満足する可能性が高い作品を選びたいというのが人情である。特に私のように遅読派の人間であればなおさらだ。
ジャンル分けには様々な意味があるわけなのだが、読者サイドからしても、選書を効率よく行う、という意味において、理にかなった仕組みと言える。

しかし反面で、ジャンル分けされているからこそ、特定の読者層以外の人たちが手を伸ばさない確率が高くなる。読者からすれば、自分の求める作品イメージからは遠く離れている可能性が高いと思えるから。

例えば芸術性の高い純文学が読みたいと思って書店に行った人は、おそらくミステリの棚を真っ先に覗くことはない。

では、ミステリ作品の中には芸術性の高い純文学的作品は無いのか? という問いにyesと答える本好きはおそらくいないと思う。このことは作品ではなく作家という切り口で考えても同様で、純文学の新人賞たる芥川賞を受賞しながらエンタメ作品を書いている作家もいらっしゃるし、芥川賞の候補者だった作家がある時から直木賞の候補者になっていることも珍しくない。

そう、ジャンル分けされてしまっているが故に、読者は、自分が求める素晴らしい作品との出会いを逃してしまっている可能性も、非常に高いのである。

これは実にもったいないことであり、また、実に悔しいことだ。

『ハルヒ』は、掛け値なしに、おもしろい。

だから私は、過去色んな人たちに、『ハルヒ』を読むようオススメしてきた。時には勝手に購入し、押し付けるように置いてきたこともある。

しかし、本当に残念なことに、ラノベを普段読まない人たちに、読んでもらえたためしがない。私のプレゼン力不足があるのも事実だろうけれど、やはりラノベレーベルから刊行されていて、「表紙にかわいい女の子のイラストが載っている」という、ラノベとしての大きな魅力が逆に作用してしまっていることが大きな原因だと、実感している。普段ラノベを読まない人の中には、「ラノベ=若年層向けの作品で、アニメ化とかを前提に書かれているエンタメ作品=”普通”の本好きの自分には合わない作品」という認識を持つ人もたくさんいる。当然だろう。「軽い小説」と直訳できるジャンル分けがされていて、表紙には若年層受けしそうなかわいい・かっこいいイラストが載っている本なのだ。私だって、知らなかったら、構えるなと言われても構えてしまうと思う。

だからこそ、一般小説レーベルである角川文庫から『ハルヒ』が刊行されるという事実が、もうとんでもなく、嬉しい。

再度断っておくが、私はいとうのいぢさんのイラストが大好きだし(Twitterでリプライをいただいて飛び上がるほど喜んだこともある)、アニメのハルヒも大好きだし、『ハルヒ』がラノベレーベルである角川スニーカー文庫から刊行されたからこそ現在の大成功があるという側面も事実であろうことは承知している。

ただしかし、純粋にテキストだけを読んでもめちゃくちゃおもしろい『ハルヒ』だからこそ、ジャンル分けなんてどうでもよくただ素晴らしいと思える『ハルヒ』だからこそ、ジャンルが足枷になって潜在ファンに届かないということが、とても辛かった。今回角川文庫から、装丁も新たに改めて刊行されることで、今まで『ハルヒ』に触れることのなかった、しかしハルヒの素晴らしさをしっかりと理解していただける読者に、キョンという稀代の語り手が語る『ハルヒ』の世界に浸っていただけるかもしれないと思うと、身震いがする。

今回のこと以外のことも含めて以前から薄々感じていただことだが、角川書店さんには、私のソウルメイトがいる。そう勝手に、思わせていただいている。ソウルメイトさん、本当に、ありがとうございます。

つい長々と書いてしまった。

皆さん、『ハルヒ』の小説は、本当に、とても、おもしろいです。本好きなら一読の価値あり。今月以降、角川文庫の棚をご注目いただけましたら、ファン冥利につきます。

そして、ラノベ版も電子書籍版も持っている私ですが、既に角川文庫版も予約済みです、はい。

◆涼宮ハルヒ:来年1月から5カ月連続で角川文庫から刊行
https://mantan-web.jp/article/20181218dog00m200025000c.html
 

この記事を書いた人
鈴木 征浩

鈴木 征浩 - Yukihiro SUZUKI -
本と書店とゲームと日本女子ソフトボールリーグとぬいぐるみとおいしいものとお酒が好きです。
株式会社opsol book 代表取締役社長/opsolグループ専務取締役。
出版プロデュースや編集業と、福祉医療関連事業をやっています。

鈴木 征浩をフォローする
鈴木 征浩をフォローする
hon.fan
タイトルとURLをコピーしました