※本投稿は、以前のブログである『ぶっくぶっくに溺れて』から再掲しているものです。
<オリジナル投稿 2019-01-22 15:03:51 >
○『文喫』webサイト

○『触れてこその本を選ぶ愉しさ。入場料ありのリアル書店が人気の訳』(『文喫』を取り上げた記事)

入場料を取る本屋さんである。
しかもその入場料は1,500円。
1,500円ですよ。それなりの施設の入場料より下手すりゃ高い。そしてハードカバーやソフトカバーの文庫でないサイズの本が1冊買えてしまう料金設定です。
でも、紹介記事を読んで、1秒かからずに「行きたい!」と強烈に思ってしまったのは、絶対に私だけではないはず。
ネット書店と明確に差別化するために、常識外の発想で突っ走る。入場料1,500円も取るんだったら、そりゃぁ本好きしか集まらない。逆に、本好きなら一度は行ってみようと思う人は多くいるだろうから、本好きは入店してくれる。ということは、1,500円の収入を得ながら、しかも店内で本を1冊以上買ってくれそうな顧客を呼び込むことができる。しかも、入場料を取ることで、より一層長時間滞在してくれる人が多くなるだろうから、併設の喫茶コーナーの売上も上がる。ビジネスモデル的にも実に素晴らしい設計だと思う。
最大のポイントは棚作りであることは明白だろう。
1,500円の入場料より大きな満足感を演出できるか。人は、支払った料金で想像している価値と実際に提供される価値が(それ以下はもちろんのこと)等価値である場合、感動しない。期待を上回る提供価値が感動を呼び、リピートを呼び、口コミを呼ぶ。
だから、棚作りという意味でも、よほど他者との差別化が出来ていないと、苦しい。
ただ、紹介記事やサイトから想像する限りでは、十分に店舗を継続させていけるレベルの棚作りはできているのではないか、と思う。これはほとんど勘としか言いようがないのだけど、この書店は、運営人が手を抜きさえしなければ、少なくとも当面は、きちんと運営できていく気がする。
リアル書店は、リアル書店同士の競争もさることながら、どこもかしこもネット書店が最大のライバルになっている。そんな中で、このような大胆な、それでいて本好きのニーズにしっかりと応えてくれそうな、そんな差別化の話題を見ると、「リアル書店もまだまだ!」という気持ちになる。それはとても嬉しいことだ。
さて、何とか理由を付けて東京に行くためにはどうしたらいいか……(←行くことはできないか、ではなく、行くことを前提に考えている人)。